アフリカからの熱風が舞い込む7月の暑い夕方
私はバールでスプーマという炭酸水を飲んで一息ついていた

7月下旬フィレンツェの街からイタリア人たちが消えていく時期
夏は海か山の涼しい場所に避難するかのように
フィオレンティーニ達は姿を消しだす
子供達は6月の半ばから3カ月という超ロングランのバカンスに
VIA MAGGIO通りには地図を持つツーリスト達の多国語が響くようになる

幼い頃の夏休みはほぼ田舎の祖父宅で過ごした私の幼少期
母に新しく買ってもらったワンピースは滅多に顔を出すことはなく
従兄弟達と走り回っていた私には短パンとタックトップ姿がぴったりだった
そんな遠い夏のあの時間
何時間もプールの中で過ごしていた
あの頃の時間の流れが思い出せそうで思い出せない

il tempo

イタリアで過ごしだした私の時間は
日本で生活していた頃に比べると速度を落とした車のようだ
ここでは心の速度はちょっと遅めにしておくくらいが楽な暮らし方だとわかった
イタリアの空気に馴染みながらときにはぼーっとしてみる

時間だけは、誰の元にも平等で、 どんなにがんばっても、とめることはできない。
いいことも、わるいことも、過ぎていく。 いいことは、過ぎ去ってしまう前に十分に楽しんで、
わるいことは、過ぎ去るのをじっと待つのもいい
流れる時よ、ほんの少しだけ、私に味方して.....

グラスの炭酸水を飲み干してカウンターに置いた
私の耳元で輝くこのピアスが私の幸せの時間の味方をしてくれるはず

バールのパトリッツィアが私の顔を見て微笑んでいた

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