人生の中でこんなに沢山の国籍の人たちと知り合えたのは
ここフィレンツェに住んだことのひとつの宝なのかもしれない
イタリア人だけではなく多国籍の人種と。。。

私が知り合ったころのアンナはまだ16歳だった
幼い頃に中国から家族で移住した彼女はアジアの香を残しながらも
仕草や話し方はほぼイタリア人のように成長した

若くはじけるような彼女の肉付きのいい体のラインはアジア人の女の子からかけ離れていた
がしかし笑顔で笑う彼女の細い目はたっぷり塗り込まれたアイラインの下で
ほのかに異国の空気を残していた

そんな彼女には同国の素敵な彼がいた
久しぶりに会った彼女は可愛い女の子から30歳を目の前にする
いい女になっていて私をドキドキさせた

ストレートの真っ黒な髪はマイルドなチョコレート色に
真っ赤に塗られた唇そして綺麗に整えられた爪
もうあの頃の彼女が思い出せないくらい魅力的な女性に変身していた
そんな彼女が左の薬指に光らせていたのはベルベットのようなイエローゴールドのリング
『私からプロポーズしたの!!』 彼女は私に報告した

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えっ!貴方から??と聞くと。。。
彼女はその日の夜のことを静かに語りだした

ずーーっと彼からいつの日かリングの箱を渡されることを待っていたの
その日は来るのか?それとも???
勿論ロマンチックなシチュエーションでリングを男性から渡されることは
女性にとって待ちに待った瞬間なのかもしれない

ある日の夜彼女は海の見えるレストランのテラス席を用意して
彼を食事に誘った
美味しいシーフードに舌鼓を打ちながら二人はいつもの時間を過ごしていた
カメリエーレがドルチェのオーダーを聞きに来たあと
彼女は少し席を外した 
戻ってきた彼女は口紅を塗り足し頬に少しラメの入るチークを入れていた

彼女は独り言のように 『今日もこの景色を貴方と見れて嬉しいわ!』 呟いた
聞こえないふりをしていた彼はいつものように笑顔で返事を返した

そこにオーダーをしたドルチェが運ばれてきた
カメリエーレはそっと彼の前にお皿を置くと銀の半円のクロッシュに手をかけ
アンナの目を一度見た後そーーっと蓋をとった

なんとそのお皿の上には甘いドルチェではなく白いジュエリーボックスが置かれていた
アンナは彼の傍に行くと。。。。『Mi vuoi sposare??? 』 私と結婚したい??
まさか。。。彼女からこんなサプライズがあるとは夢にも思っていなかった彼
言葉も出ずただただ彼女を抱きしめた。。。。
そして彼女はイエローゴールドに輝くベルベットのようなリングを
ゆっくり彼の薬指につけた

LA BELLA MATTINA

バスルームに行くと席を外した彼女はご年配のカメリエーレに
私今からプロポーズするから協力して!!とお願いしていたのだ
白髪の優しい微笑みをもつカメリエーレはドルチェを出したあと柱の陰から
二人の大切な時間を見守っていた

愛のカタチにルールはない.......
そんなことを教えてくれたような気がした


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