ある日の13時すぎそろそろランチタイムと思っていたら
一組のご年配のアメリカ人ご夫婦がお店に入ってこられた
イタリアへの訪問は今回が3度目というお二人
小さな静かな町を巡ったり大好きなトスカーナ地方を満喫しているそうだ
イタリアという国は飽きることがない
何度来てもまた戻りたいと思う何か大きな魅力に包まれているよ!
とご主人はニコニコとして私に語った

旅行中ということもありご婦人はとてもカジュアルなスタイルだった
恐らく年齢的にはかなりご年配かと思われたが彼女の仕草や話方で
この方がとてもエレガントな方だと明確にわかった

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奥様がショーケースに足を進めるとご主人は静かに
玄関にある紫色のビロードのソファーに腰を下ろした
そして幸せそうな顔でジュエリー達を見る奥様を優しい眼差しで見ていた
彼女はラテン語のジュエリーのネックレスを見せて欲しいと指さしたcarpe diem

65cmの長めのネックレスが通されたそのチャームには

Carpe diem quam minimum credula postero
『今日一日の花を摘めなぜならいたずらにも時はどんどん流れていくのだから』

彼女はサラサラとこのラテン語を読みだした
『ラテン語をお話しになられるのですか?』と尋ねると
彼女はチャーム見ながら『若い頃にね。。』と微笑んだ
まるで宝物を見つけたような顔でご主人に見せる彼女の顔は少女のようだった

長めのチェーンを彼女は首に通した
黒いシルクの光沢のあるセーターの上に乗せられたチャームは
艶消しされた落ち着きのある輝き出していた
彼女の耳には同じ光りすぎないイエローゴールドのフープイヤリング

ご主人はソファーからアンティークの鏡に映る彼女を見つめていた
このご夫婦の柔らかくしっかり築かれた夫婦の絆を感じた
奥様は『とっても気に入ったけど少し考えてみるわ』と言い
チャームを静かに首から外しトレーの上に乗せた
がしかし彼女の視線はこのチャームから離れなかった
 『素敵な詩だわ!』と彼女は再び CARPE DIEM.....と声に出した

ご主人はそーーっとソファーから立ち上がると
彼女の肩に手を回しポンポンと肩を優しくたたき
ズボンの後ろポケットからお財布を取り何も言わずに
クレジットカードを私に手渡した
そして奥様の顔を見てこう言った
『DESTINY!!!』運命だねーーこのチャームと出会ったのは!!と告げた
きっとこのお二人にはこのラテン語に通じた秘密のストーリーが
あるに違いない・・・・と私は思った
でもそれを聞くことはしなかった
お二人だけの時間を邪魔したくなかった

お見送りをさせて頂きお店を出たお二人を扉から少し見送っていると
奥様がご主人に軽くキスをし彼の腕にぴったり寄り添った
お二人はポンテサンタトリ二タ橋に向かってゆっくり歩いていった

時計の針は14時前だった
お二人の幸せな空気を沢山食べたせいか空腹は感じていなかった
私も主人とこんな風に年を重ねていければと未来予想図を頭の中に描いた
そしてその日の午後はずーーっとどんなストーリーだったのかが頭から離れなかった



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